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他大学 (2016年度)

  • 集中講義(後期):東北大学大学院理学研究科数学専攻

【科目名】

確率過程論特選,数学総合講義H(修),多様体論特殊講義EIII(博)

【日時】

2016年10月4日(火)−7日(金)

【授業題目】

Bessel Processes, Schramm-Loewner Evolution, and the Dyson Model

【授業の目的と概要】

数理物理と確率論の分野での最近のトピックスとして, 共形場理論,臨界現象,フラクタル物理と関係するSchramm-Loewner Evolution (SLE) と, ランダム行列と関係するDyson Model について解説する. 特に,SLE における Cardy の公式,およびランダム行列理論における Tracy-Widom 分布について詳説する.

【学習の到達目標】

マルチンゲールや伊藤の公式といった確率解析の基本的な概念を理解し, それらがSLE やランダム行列理論といった最近の話題においてどのように 応用されているかを知る.

【授業の内容・方法と進度予定】

ベッセル過程は1次元拡散過程の1パラメータ族である. パラメータ D が自然数の場合はD次元ブラウン運動の動径成分として定義されるが, Dは1以上の実数に拡張することができる.本講義では,シュラム・レヴナー発展 (SLE) とダイソン模型をそれぞれベッセル過程の複素拡張,および多変数拡張として導入し解析する. ブラウン運動を「親」とすると,ベッセル過程はその「子」,SLE とダイソン模型は「孫」と位置付けられる.

この構造を明示することにより,SLE曲線が上半複素平面上に多彩なフラクタル曲線を 描くことはベッセル流の非自明なD依存性に起因していること,また,β=2のダイソン模型の もつ行列式過程としての可積分構造はD=3ベッセル過程の特性に起因していることを明らかにする.

最後に,Kardar-Parisi-Zhang 方程式に関する最新の話題にも言及したい.

【参考書】

M. Katori: Bessel Processes, Schramm-Loewner Evolution, and the Dyson Model, SpringerBriefs in Mathematical Physics, Vol.11, Springer (2016)

【付記】 下記のように談話会で講演をします.

東北大学理学部数学科談話会

(日時)2016 年 10 月 3 日(月) 16:00-17:00

(場所)東北大学理学部数理科学記念館(川井ホール)

(講演者)香取眞理(中央大学大学院理工学研究科)

(講演題目)ベッセル過程から可積分無限粒子系へ

(概要)

3 次元ベッセル過程は 3 次元ブラウン運動の動径成分として定義されるが、 1 次元吸収壁ブラウン運動の調和変換に等しい。 同様に、エルミート行列値ブラウン運動の固有値過程として定義される ダイソン模型は、ワイル領域内の吸収壁ブラウン運動の調和変換に等しい。

本講演では、後者の調和変換はある整関数で定められる行列式で表され、 この表現からダイソン模型のもつ著しい可解性が導かれることを説明する。 初期配置が整関数の零点を定め、複素ブラウン運動をこの整関数で 共形変換することによって得られるマルチンゲールが解を記述する。この構造 を利用すると、無限粒子系を構成し解析することができる。