中央大 統計力学・確率論セミナー 堀田一敬 氏

中央大 統計力学・確率論セミナー [file.pdf]

講演者:堀田一敬 氏(山口大学大学院 創成科学研究科)

題 目:Tightness results for infinite-slit limits of the chordal Loewner equation

日 時:2017年8月22日(火) 13:30−17:00; 8月23日(水)10:30−17:00

場 所:中央大学後楽園キャンパス 理工1号館5階1530室

    (〒112-8551 文京区春日1-13-27;東京メトロ丸の内線,

     南北線の「後楽園駅」または都営地下鉄大江戸線, 三田線の

    「春日駅」から徒歩5分)

概 要: 以下,半直線と言った場合には,複素平面 {\bf C}上の単純曲線で片方の終点が 無限遠点にあるようなものを指します.数年前から,複数本のスリットを像領域 に持つような等角写像の力学系とレブナー方程式との関係性に注目しています. そのモチベーションは,時間発展する単連結領域(細菌成長のようなものを イメージしています)を記述するためにその外側(補集合)を半直線で埋め尽くし, その半直線たちが同時に縮小していく様子を眺めてやればいいのでは, というアイデアからです.いきなり無限本数の半直線を考えるのは大変なので, まずは{\bf C}から $n$ 本の半直線を除いた領域の力学系を解析し,そのうえで $n$ の極限を考えることでの「近似」による記述を目指します. 古典的な函数論の結果により,等角写像の族においてスリット領域を像領域に 持つようなものは極値的な役割をしている(コンパクト一様収束の位相で稠密である) ことがわかっています.つまり函数論としての下地はある程度整っているので, ここから研究を発展させていきたいという考えです. 一方でSLEにおいてはスリットを複数本にしてみようという試み がいくつかなされているようで,その中で現在主流となっている考え方が, 2007年に Kozdron \& Lawler (arXiv:0605159) によって導入された configurational SLE measureというものです. 本セミナー講演ではまず Kozdron \& Lawlerの論文のレビュー, 特に configurational SLE measureの解説をします.そしてそれをふまえて, 近年 del Monaco氏,Schleissinger 氏との共同研究 (arXiv:1608.04084) で得られた,$n$-tuple slits SLEのレブナー方程式より導出される 測度値確率過程の極限のふるまいについてのいくつかの結果を紹介します.

問い合わせ先:中大・理工・物理 香取 眞理

       TEL: (03) 3817-1776

       E-mail: katori@phys.chuo-u.ac.jp

       居室 理工1号館5階 1538室