物理学特別講義第一(集中講義) 横井 喜充(東京大学 生産技術研究所 基礎系部門)
中央大学大学院理工学研究科物理学専攻
物理学特別講義第一(集中講義)
横井 喜充氏(東京大学 生産技術研究所 基礎系部門)
中央大学後楽園キャンパス3号館3階3308号教室 (〒112-8551 文京区春日1-13-27; 東京メトロ丸の内線, 南北線「後楽園駅」, または都営地下鉄大江戸線, 三田線「春日駅」から徒歩5分)
9月12日(火)、13日(水)、14日(木)の3日間で、 いずれも10:40に始めます。
(詳しい時間割などは、初日9月12日(火)の講義冒頭で 連絡いたします。)
以下はシラバスの内容です。
「授業の概要」 はじめに、流れの性質を理解するための初歩的概念 (応力、変形率、粘性、渦度、レイノルズ数、境界層など) と流体を支配する方程式について簡単に説明する。流体運動 が強い非線型性に支配されると乱れが発達し乱流になる。 乱流はその非線型性のためスケール間の相互作用が強く、 カスケード、散逸、輸送促進など多くの興味深い性質を示す。 同時に、強い乱流中で大規模な構造が生成され長時間に わたって維持されることがある。乱流のこのように多岐に わたる性質を概観するとともに、それを理解するための 基礎的な概念を紹介する。特に、平均場(流れ)とゆらぎ (乱れ)の双方向の相互作用の重要性を強調する。
「科目目的・到達目標」 連続体の力学は物質の運動を記述する一つの有力な方法である。 その方程式の構成は,場の量の保存則に基づき自然現象を どのようにモデル化するかについて示唆に富んでいる。 応力、変形速度、粘性、渦度、レイノルズ数、境界層などの 流体力学の基礎概念を学ぶ。さらに、自然界の流れの重要な 構成要素である回転や密度成層下での流体運動を紹介する。 波や安定性の議論は、境界条件自体が非線型な実際の 物理現象を扱う際の基本となる。乱流は未解決の問題だが、 乱流の様々な性質について非平衡で非一様な非線型現象を どのように扱うか、そのための考え方の基本を学ぶ。
「授業計画と内容」 流体力学の基礎 応力,粘性,渦度,レイノルズ数,境界層, 回転,密度成層,波,安定性 乱流とその性質 非線型性と非一様性 乱流輸送とそのモデリング 乱流中の構造形成・維持
「テキスト・参考書等」
横井 喜充 他 編 「乱れと流れ」 培風館 2008年発行 6,000円
Yokoi, N. "Cross helicity and related dynamo, " Geophysical and Astrophysical Fluid Dynamics, Vol. 107, 114-184 (2013)